更新日:07/06/2023
[Salesforceコラム]
Salesforceの
「リリースノート」を
活用しよう
後編
この記事を書いた人
JSOL ソーシャルトランスフォーメーション事業本部 所属
清水 健太郎
情報処理安全確保支援士
Salesforce認定アプリケーションアーキテクト、9x Salesforce 認定資格
JSOLではSalesforceリスク管理チームのメンバーとして、複数のお客さまのSalesforceセキュリティ対策を支援
Salesforceの「リリースノート」を活用しようでは、リリースノートの重要性と、読み方のポイントについてお伝えしました。後編では、膨大な量のリリースノートを効率的に把握し、Salesforce活用に活かしていくための方法を解説していきます。
約600ページもの膨大な量のリリースノートが、週1回程度のペースで更新されていくSalesforce。日々運用・開発を進めながら全てのリリースノートに目を通すのは難しいのが実状です。そこで、リリースノートの中から優先的に確認する必要がある項目、後回しにすることができる項目を仕分け、効率的に確認していくことが大事になってきます。優先順位をつけるにあたっては、以下の3つの観点を持っておくと良いでしょう。
自社で利用しているサービス・機能か
リリースノートでは、Sales Cloud、Service Cloud、Experience Cloud、Marketing CloudなどSalesforce
のサービス毎に分かれてアップデート内容が記載されています。そのため、まず自社で利用しているサービスに絞って確認することができます。
またサービスの中で、機能毎に分かれて記載されています。そのため、「Service Cloud は使用しているが、そのうち Einstein ボットの機能は利用していない」といった具合に、サービスの中でも特定の機能は利用していないという場合は、利用している機能に絞って確認することができます。
誰に関連するアップデートか
Salesforceのアップデートは、エンドユーザー向け・システム管理者向け・開発者向けに分類することができます。
例:
・エンドユーザー向け:使用画面に新しい機能が追加される、従来ユーザーが画面で行っていた作業を Salesforce が自動で実施する機能が追加される
・システム管理者向け:設定画面が使いやすくなる、システムの利用状況を把握できる機能が追加される
・開発者向け:プログラム開発をする時に使用できる標準のコンポーネントが追加される
システムの利用者はエンドユーザーですから、一般的にはエンドユーザー向けのアップデートについて優先的に確認することにするケースが多いでしょう。ただそれ以外のケースでも、自社での利用状況に鑑みて、誰向けのアップデートから確認すべきか、優先度を決めることができると思います。
セキュリティに関連するアップデートか
情報システムを取り巻くセキュリティ環境が年々厳しくなる中、不正アクセスによる情報漏洩、システムの改ざんといった事態は避けなければなりません。そのため、セキュリティに関連するアップデートは優先的に確認する必要があります。
リリースノート活用においてもう1つポイントになるのが、リリースノートを継続的に確認する体制づくりです。リリースノートを常に正しく把握しておくためには、リリースノートを読める人材の育成と、組織でリリースノートを確認する体制整備が求められます。
リリースノートを読める人材の育成
Salesforceの専門用語が頻出するリリースノートは、製品知識のない人材が読んでもよく理解できません。また、開発者向けのアップデートについては Salesforce 以外の ITの知見がないと理解が難しいものもあります。リリースノートを十分に活用したい場合、リリースノートを読めるスキルを持った人材の育成は欠かせません。
組織でリリースノートを確認する体制整備
リリースノートの全てを1人で読んで理解できるスキルを持った人はそうはいません。また、分量的に全てを1人で読むのも容易ではありません。利用しているSalesforceのサービスや機能が限定的なうちは、今回ご紹介した観点を元に優先順位を整理し、少人数でリリースノートを確認することができるでしょう。しかし、利用規模が大きくなるにつれて複数人で分担や協力をしながらリリースノートの確認を進められる体制が必要になります。
Salesforceでは計画(ロードマップ)に基づいて毎回のアップデートが進められています。そのため、リリースノートを何回か続けて読んでいると「○×という全体的な流れの中で今回こういうアップデートが実施される」という理解の仕方ができるようになり、より Salesforceに対する理解が深まるというのが筆者の感想です。その観点からも組織的にリリースノートを確認する体制の整備には意味があると思います。
ここまで読むと「リリースノートの活用はツラいなあ」と思う読者の方もいるかもしれません。そんな時は、Salesforce社主催で実施される新機能紹介Webセミナーに参加するのがおすすめです。
バージョンアップのリリースから約1ヶ月後に、バージョンアップで注目の新機能を紹介するWebセミナーが実施されます。前回のSpring’23のバージョンアップ(2023年2月12日リリース)でも3月中旬に4回に分けてWebセミナーが実施されました。
もちろんWebセミナーで全てのアップデートを把握することは叶いませんが、セミナーではSalesforce社が「これは Salesforce の利用者に是非知っておいて欲しい」と考えているものがピックアップされています。各回1〜2時間で「注目の新機能を押さえる」という意味では、効率良く情報収集できる機会です。
Webセミナーの資料や動画は後日Webサイトで公開され、当日参加できなくても後から内容を確認することができるのもありがたいポイント。かく言う筆者も最近のバージョンアップでは後日動画の再生速度を1.5倍速にして内容を確認していることがしばしばです(笑)。
新機能紹介Webセミナーの他にも、Salesforce社では「Release Overview Deck」と呼ばれる資料を提供しています。これは、各アップデート項目の概要を1項目あたり1スライドで簡易的にまとめたもの。情報を入手するタイミングが少し遅くなっても問題ないようであれば、このような情報源も活用することができます。
前後編の2回に分けてSalesforceのリリースノートの活用についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか? リリースノートを通じてSalesforceをより有効利用するための情報が、何かしらお伝えできたようであれば幸いです。
JSOLは、自社でSalesforceを活用するとともに、ITベンダーとして他社様のSalesforce導入や運用をご支援しています。Salesforceのアーキテクト資格を保有したメンバーを中心にリリースノートを確認する体制を整え、リリースノートの確認を続けています。当社も「ここまでやれたら良いな」ということがまだまだあり、日々チャレンジではありますが、リリースノートの活用でお困りでしたら是非ご相談ください。
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