Saleforceは導入して終わりじゃない!
バージョンアップへの対応に欠かせない「リリースノート」とは

更新日:05/24/2023

[Salesforceコラム]

Salesforceの「リリースノート」を活用しよう![前編]

この記事を書いた人

株式会社JSOL ソーシャルトランスフォーメーション事業本部 清水 健太郎

JSOL ソーシャルトランスフォーメーション事業本部 所属

情報処理安全確保支援士
Salesforce認定アプリケーションアーキテクト、9x Salesforce 認定資格

清水 健太郎

JSOLではSalesforceリスク管理チームのメンバーとして、複数のお客さまのSalesforceセキュリティ対策を支援

Salesforce活用に欠かせない、「リリースノート」をご存知ですか?Salesforceを導入した後、気づいたらバージョンアップして仕様が変わっていた…という経験を持つ方は、リリースノートを見逃しているのかもしれません。今回はリリースノートの概要と、読み方のポイントについてご紹介していきます。

常に進化し続けるSalesforce

バリューの1つに「イノベーション」を掲げるSalesforceでは、多くの顧客情報を活かして常にテクノロジーのブラッシュアップが行われています。ソフトウェアのインストールが不要だからこそ、継続的に進化し続けられるのはSaaSのメリットと言えるでしょう。利用者はその進化を把握し、対応していかなければいけません。

具体的には、2月(Spring)・6月(Summer)・10月(Winter)の年3回、バージョンアップが行われています。

2月(Spring)・6月(Summer)・10月(Winter)の年3回、バージョンアップ

直近では2023年2月12日に、Spring’23のバージョンアップがリリースされました。バージョンアップでは、新しい機能が追加されたりセキュリティが強化されたりします。また、既存機能の仕様が変更されたり、場合によっては機能が廃止になったりすることもあり得るため、常にバージョンアップを把握しておく必要があります。

Salesforce活用に欠かせない「リリースノート」とは

Salesforceのバージョンアップに合わせて、バージョンアップの具体的な変更内容が記されているものが、「リリースノート」と呼ばれるドキュメントです。Salesforce社から公開されるリリースノートは、なんと約600ページにも渡ります。原本は英語ですが、日本の利用者向けに日本語版も公開されています。

ただ、英語版の初版はリリースの約8週間前に公開されるのに対し、日本語版の公開はリリースの約4週間前。日本語版を待っていると、既存のシステムに影響があることを認識しているのに、リリースまでに対応が間に合わないといった事態も考えられます。そのため、我々JSOLでは英語版がリリースされてすぐに内容を確認し始め、迅速にバージョンアップへの対応ができるよう進めています。

リリースノートはWeb上で公開され、PDFでダウンロードも可能です。リリースノートを確認し、新機能を利用する計画を立てたり、既存のカスタマイズ内容に与える影響の有無を判断したりして、バージョンアップに備える必要があります。

「リリースノート」の読み方

約600ページもの膨大なリリースノートを読むのは骨の折れる作業です。ここでは、リリースノートの読み方をお伝えしていきます。構成は大きく分けて、以下の4つです。

  1. リリースノートの使い方・変更履歴
  2. サポートされているブラウザなど、Salesforce全体に共通する変更内容
  3. Salesforceのサービス毎の変更内容
  4. 「リリース更新」
リリースノートの使い方・変更履歴
https://help.salesforce.com/s/articleView?id=release-notes.salesforce_release_notes.htm&release=242&type=5より引用

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

①リリースノートの使い方・変更履歴
リリースノートの導入部となります。リリースノートの使い方については毎回読む必要はありませんが、初めて読むという方は目を通すことをお勧めします。変更履歴については後ほどご紹介していきます。

②サポートされているブラウザなど、Salesforce全体に共通する変更内容
Salesforceでサポートしているブラウザの種類・バージョンや、Salesforceのサービス全体に共通する変更が書かれています。リリースノートに占める分量は多くありませんが、変更があった場合は影響範囲が広くなる可能性があるため、しっかりと内容を確認したいところです。

③Salesforceのサービス毎の変更内容
Sales Cloud、Service Cloud、Experience Cloud、Marketing CloudといったSalesforceのサービス毎の変更内容が書かれています。正確に言うとサービスではありませんが、「Salesforce Flow」(フロー機能)や「Security, Identity, and Privacy」(セキュリティ・認証・プライバシー)のようなセクションもあり、リリースノートの分量の大半を占めます。

Salesforceの利用者(≒企業)によって利用しているSalesforceのサービスはまちまちですので、筆者のようにリリースノートを眺めるのが趣味という人でなければ、自社で利用しているサービスの部分だけピックアップして内容を確認していくのがよいでしょう。

④「リリース更新」
「リリース更新」(Release Update)という言葉はなかなか聞き慣れない言葉だと思いますが、Salesforceでは「アップデート内容の中でも特に利用者に与える影響が大きいと思われるもの」のことを指します。

具体的な内容としては、既存機能の仕様の変更、セキュリティの強化、古い機能の廃止等があり、リリース予定の時期からある程度前もってアナウンスされます。影響度合いが大きいほど、早めにアナウンスが行われます。Spring’23のリリースノートであれば、2023年6月に予定されている次のアップデート(Summer’23)でリリースされる予定のアップデートが、既に10件程度リリース更新として記載されており、中には古いAPIの廃止も含まれています。

リリース更新は、Salesforce社から「特に利用者に与える影響が大きいと思われるもの」として指定されているものになりますので、リリースノートの中でも特に重点的に内容を確認すべきところです。JSOLでも漏れなく内容を確認するようにしています。

その情報、最新ですか?リリースノートを読む上での注意点

リリースノートを読む上で、いくつか注意すべき点があります。ここでは、主な注意点である2つをご紹介します。

1. 週1回程度のペースで更新される
リリースノートは一度公開されたら終了ではありません。初版が出た後、週1回程度のペースで内容が更新されていきます。記載内容が追加されることが多いのですが、予定していた変更内容が取りやめになり、内容が削除されることもあります。そのため、初版のリリースノートで内容を確認した後も、実際にバージョンアップがリリースされるまでは継続的にリリースノートの更新履歴を追いかける必要があります。

2. 日本語版は内容が古い可能性がある
リリースノート英語版の初版はリリースの約8週間前の公開であるのに対し、日本語版の公開はリリースの約4週間前であるとお伝えしました。日本語版のリリースノートは、英語版を元に翻訳が行われています。

しかし、その間にも週1回程度のペースで内容が更新されていきます。翻訳に要する時間の分だけ、最新の内容が日本語版に反映されるのが遅れていってしまうのです。
日本語版のリリースノートを利用する場合は、その項目について英語版のリリースノートで更新が入っていないかどうかを確認しながら利用する必要があります。Webのリリースノートでは画面の一番下にあるリストから、言語を切り替えることができます。ここで英語版に切り替え、最新の更新を確認するようにしましょう。

プルダウンで英語版に切り替え

終わりに

今回は、Salesforceのリリースノートについてご紹介しました。少しでも理解を深めるお役に立ったのであれば幸いです。

JSOLは、自社でSalesforceを活用するとともに、ITベンダーとして他社様のSalesforceの導入や運用をご支援しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。次回は、リリースノート活用におけるコツについてもう少し具体的にご紹介していきます。

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